自民党のなりふり構わない奇策には驚いた。東国原宮崎県知事の擁立工作のことだ。人気にあやかり選挙戦を優位に戦おうとする魂胆はみえみえである。
それにしてもである。その自民党の選挙出馬要請に対し、総裁候補とするよう条件を付けたと真顔で記者に説明する知事の態度には唖然とした。「拒否する為の理由」との声もあったが、その後の発言を聞く限り、本人はいたって本気のようだ。
高い人気を武器にドップセールスマンとして特産品を売り込み、県の知名度を高めたことは率直に評価したい。だが、当選直後から週末はしょっちゅう上京してテレビに出演し、それも知事職とは無関係のお笑い番組も少なくない。はっきり言えば、東京にばかり目が向いていて、タレント稼業から脱し切れていないと思う。
本音は最初から国政で、政権与党入りが願望だったとすれば当然の成り行きだ。しかし政権が交代すれば閣僚ポストはおろか、野党の一議員でしかなくなる。