大学の社会人向け講座でありながら、放送通訳の技術を手ほどきするのが、東海大学エクステンションセンターが開講する放送通訳体験講座だ。開講以来、講師を担当している戸谷先生は言う。
「大学の講座としては全国的に考えても珍しいと思います。全5回のカリキュラムで、現役のプロが行うのと同じ手法で、実践的な訓練を交えて放送通訳が体験できる講座となっています」
戸谷先生は、自ら放送通訳者として多方面で活躍する一方で、他の放送通訳者養成スクールでも教鞭を執り、後進の育成に力を注いでいる。
「ここがほかと違う一番大きな点は、誰でも受講できるということです。プロ養成を主目的とするスクールには入試があり、高いレベルの英語力を持つ人しか入学が許可されません。それに比べて、この講座は入門体験してもらう講座として設置されています。興味がある人なら受け入れて、放送通訳が一体どういうものか知ってもらうことに主眼が置かれているのです。ですから、受講者の英語力はさまざまなレベルで、ビジネスパーソンから定年退職後のシニアの方、主婦まで幅広い受講者層といえます」
体験入門的な講座とはいえ、初心者向けにレベルを下げるのではなく、プロと同じ内容であるのが特徴。メモの取り方、シャドウイング、リスニング強化、逐次通訳などを順次体験していく。「自分で日本語に翻訳した原稿を作って、ニュース映像に合わせて通訳パフォーマンスを行うところまで全員に体験してもらいます。一方で、やはり入門体験ですから、リスニングが苦手という人にはあらかじめ原稿を配るなどのフォローを行いながら進めています」
体験入門講座として幅広い層の受講者が集うので、時には緊迫した雰囲気にもなるプロ養成スクールと比べると、「雰囲気はなごやかでリラックスして受講できる」のも特徴だと、戸谷先生は語る。
「毎回、時事的な話題を題材に授業を行うのですが、自らテーマに沿った記事を集めてきて、そのコピーを他の受講生に配ってくれる常連の生徒さんもいます。パフォーマンス録音用の機材の使い方をお互いに教え合ったり、またパソコンの上手な使い方を教えてくれる生徒さんもいて、助かっています。放送通訳の体験を介して、楽しみながら英語力と国際社会への意識を高めたいという方におすすめの講座です」
通訳・翻訳業界総合ガイド2012-2013年度版
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