異なる文化的背景を持つ者同士がコミュニケーションを行うとき、歴史や民族性によって蓄積された多様な文化が関わってくることになる。多文化が共存する国際社会に対応するために必要な異文化コミュニケーション能力の育成を目指して設置されたのが、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科だ。
米国モントレー国際大学大学院で長年教鞭を執り、昨年9月より同研究科教授に着任した武田珂代子先生は、この研究科のユニークさを次のように語る。
「モントレーが専門職大学院としてプロの通訳・翻訳者の養成機関であるのに対し、当研究科は理論と研究に比重が置かれています。しかし、理論のための理論、研究のための研究になってしまったのでは、それを行う意味が失われてしまいます。やはり通訳・翻訳の現場で起こっている課題を意識し向き合っていくことが重要になります。
通訳・翻訳者の仕事は、社会的・政治的・文化的側面と、さまざまな要素を含むもの。グローバル化や情報技術が進展する多文化共生社会の中で、異文化コミュニケーションの仲介者としての通訳・翻訳者が自らの社会的役割や職務倫理などを考える能力を持つことが必要だと思います。
その点、当研究科での学びは学際性が高いため、通訳・翻訳をあらゆる観点から捉えることができ、結果的に自律的で適応性の高い通訳・翻訳者になるための振り返り能力を習得できます」 同研究科は、異文化、環境、言語、通訳翻訳の4分野から成り、複合的指導により異文化対応の専門能力と資質を高める工夫がなされている。
武田先生は、研究テーマの自由度にもこだわって指導を行う。
「社会貢献性のある研究、世界に通用する質の高い研究を行うのに必要なのは情熱。自分自身が興味を持ち、得意と考えるテーマを勧めるようにしています。例えば、アニメの字幕、ゲームの翻訳など、自らの興味に即して内容を掘り下げていく学生も大勢います。学生のバックグラウンドや進路は多様で、現役の通訳・翻訳者でありながらここで学ぶ人もいます。学問としてはまだ歴史が浅い分野なので、研究者として通訳・翻訳の発展に寄与できる人材の育成にも、力を入れていきたいですね」
通訳・翻訳業界総合ガイド2012-2013年度版
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