35年の翻訳業界生活を基に15年にわたって指導を行ってきた柴田先生は「英語力をつける基本は、英文精読にある」と主張する。
「英文を一点の曇りなく読み解き、きちんとした日本語に置き換えることで、文法力・論理力・教養力・表現力が鍛えられます。英文を丁寧に読み込むのは、自ら英語力があると思っている人でも、実は容易なことではありません。一定のルールに従って行うことが大切です」
長年の経験の中で、誤訳のない正確で読みやすい訳文にこだわり続けた結果、英文精読法をひとつのメソッドに結実させた柴田先生。教室で翻訳カリキュラム「柴田メソッド」として活用し、徹底した実践トレーニングを展開している。教材となるのは、柴田先生が厳選した幅広い分野の英文だ。著名なエッセイ、専門書の冒頭文、短編小説など、ビジネス文書に偏ることなく、さまざまな書物に触れて多岐にわたる教養を高めることもできる。
精読の指導では、「文構造をきちんと把握する」「andとカンマと記号の意味にこだわる」「記述内容のウラをとる」「英文と等価の、日本語に置き換える」といったルールに従って進めることで、語学力・論理力から調査力、表現力に至るまでバランスよく養われていく。
受講生は翻訳者、翻訳者を目指す人、ビジネスの現場で英語を頻繁に使うような人など英文と日々接している人が中心。それでも、英文を読み解く授業で「目から鱗が落ちる思い」を必ず経験する。
「門を叩いてくるのは、もともとある程度の英語力のある人ですから、適性やセンスを持っていると言ってよいでしょう。ですから、時間をかければ、私が指導していることに自ずと気づいたかもしれない。しかしながら、私が、これまで教育手法として確立されることのなかったメソッドを提示することによって、ムダな時間をかけずに最短で目的地へ行ける方法を手に入れられるわけです。現に約4人に1人が、自分の名前の冠された訳書を出しています」
柴田先生は翻訳会社の経営者としても25年の経験を有している。その長い経験から、「翻訳は商品である」と考え、ニーズを知り尽くし、傾向と対策を研究してきたからこそ、実践的メソッドが編み出せたともいえる。「およそ30年かけて開発した方法論を勉学の意欲あふれる人たちに提供したい。学問に王道なし。そして、継続は力なり。美辞麗句を掲げるつもりはありません。これを読んで何かを感じた人にこそ、いらしていただきたいですね」
通訳・翻訳業界総合ガイド2012-2013年度版
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