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友情と誠意から設立された基金

カタールフレンド基金(QFF)は2011年の東日本大震災の後、東北の「被災者の希望と夢を取り戻す」とのミッションで2012年に設立され、そのために12のプロジェクトに資金援助を行なっている。

壊滅的な地震と津波が襲ったすぐ後に、カタール国の当時の首長シェイク・ハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニ殿下は援助活動を手助けし、被災者の復興を加速させるために日本へ1億ドルの寄付を発表した。

シェイク・ハマド殿下はすぐに日本の人々に手を差し伸べ、生活を再建するために自身の国ができることを何でもしたいと考えた。殿下はさらに日本に必要な支援を届けるために、シェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ皇太子殿下(当時)指揮の下、カタール石油会社内に24時間体制の特別チームの編成を明らかにした。

この寄付をもとに、シェイク・タミーム皇太子殿下がハーリド・ビン・ムハンマド・アル・アティーヤ外務担当国務大臣に命じて、基金は設立された。

ユセフ・ビラール駐日カタール大使が議長を務めるQFFは、カタールが100以上の国で行なっている年間8億ドル以上の支援と区別するため、その名前が付けられた。この基金は、外交関係樹立が1972年までさかのぼる両国の関係を強化することも目的としている。

「われわれの友人に誠意を示すために、また日本の人々との強固な友好関係の印として、この基金を始めました」とビラール大使は語った。

両国は主要な貿易相手であり、日本がカタールから大量の液化天然ガスを輸入してきたことから、関係は主にエネルギー分野で樹立された。両国関係は40年以上の間にエネルギーから教育、技術、文化、人道行為の分野へと発展してきた。

QFFは当初は外務省のもとにあったが、現在カタール開発基金の管轄下にあり、この機関は資金援助により世界各地のコミュニティの生活を向上させ、教育や健康、経済発展の推進を通して人々に力を与えている。

影響を最大化する

基金の優先事項の一つは、産業とインフラの復旧とほかから支援を受けていない開発計画を通じて、迅速かつ効果的に、さらに被災地の人々により直接的に支援を届けることにある。

最大限の数の受益者への影響を最大化するため、日本の人々の間で急を要し、必要で持続可能なニーズを支援するQFFは、基金が協働するコミュニティが直面する固有で社会的、経済的、文化的な課題に合致する革新的な解決方法を作り上げることに尽力している。

特にQFFは、子どもたちの教育、水産業、健康、起業家支援の4つの分野に焦点を当てている。

QFFは子どもへの教育が大切だという信念を持ち、教育により受益者は可能性を実現し、自身の未来を形作れると考える。基金は2011年の震災で被災した地域の若者に知識、能力と経験を積ませ、それらを「人生で大事な決断をする手助け」とするために、適切な教育機会の提供に向けて基金は彼らとともに取り組んできた。

こうした目的のために、基金は学校の復旧と拡大、スポーツと文化の教育の推進、またカタールと日本の子どもたちが協力を深め、文化理解をさらに進めるための連携推進に注力してきた。

健康の分野について、どの社会においても長期的な発展と持続可能性において、QFFは人々が健康であるコミュニティの大切さを強調する。それは、被災した人々において健康であることが復興の取り組みの基礎になるからだ。

基金は被災者の肉体的、精神的な回復を手助けすることで生活を再建し、維持するために、人々に力を与えられる取り組みを行なう。

水産業に関して、3月11日の震災で大きな打撃を受けたコミュニティでの経済的な価値を考えると、この産業の復旧と発展は重要な意味を持つ。よって、基金は漁業関係のコミュニティと協働し、漁業経済と供給を再建させ、その過程で何千もの雇用機会を生み出す活動をしてきた。

基金はまた、海洋に影響を与えた環境被害と汚染を減らすため、たゆまず取り組みを行なう。

さらに、東北の再生に向けて、その原動力となる新たな事業創出に大きな役割を担う起業家と社内起業家を支援する。

事業の持続可能性は大きな基準

QFFは最も高い水準の説明責任を持つ独立した機関として運営されている。4つの優先分野の幅広いプロジェクトへ効果的に資源を活用し、資金を提供するために、基金では7つの評価基準を採用した。与えられる支援が継続可能で、支援が最も必要なところに向かうことを保証するためだ。

各プロジェクトが示さなければならない7つの特徴とは、完成後の運営計画、影響が大きいこと、象徴的であること、高品質、具体性、実行団体の実績、そして関係各所の協力だ。

完成後の運営計画では、そのプロジェクトが基金の支援が終了した後も事業の成功と実行可能性を担保する計画があるかを審査する。

計画の影響が大きいことについては、そのプロジェクトでは「コストに比較して多数の受益者がいるか」、またそれが岩手、宮城、福島の「被災3県すべてに広がるか」どうかをはかる。

象徴的なことに関しては、提案が「カタールの復興に対する関与を表すか」、そして「基金の優先分野と関係あるか」である。

高品質かどうかについては、提案に「プロジェクトの持続可能性を担保する実行可能な計画」があること、そして「地域住民の利益を最大化する革新的な切り口」を持っていることが求められる。

一方で、具体性の有無については、その計画が「直近の実行と提供を可能にするよう、十分詳細に練られているか」を検討する。

実行団体の実績では、計画が「献身的で経験豊富な実行者のチームに率いられているか」どうか、また「目的に向かう上で信頼できるビジネスパートナーからの支援を活用しているか」をみる。

最後に関係各所の協力では、プロジェクトが「政治、行政、産業、地域住民の確かな協力のもとに成り立っているか」どうかを評価する。

専門家による監督

QFFは、駐日カタール大使が議長を務め、子どもへの教育、水産業、健康、起業について精通する4人の外部識者から成る諮問委員会によって方向性が決められる。

委員会はまたプロジェクトの選定や調整、基金についての情報発信を手助けし、さらに計画の方向性について大使ならびに関係者にアドバイスを行なう。

4人の識者は、東北大学教授で経済が専門の福嶋路さん、元千葉県知事で教育が専門の堂本暁子さん、インテカーの創設者で社長、ビジネスを専門とする齋藤ウィリアム浩幸さん、そして水産業が専門の東京海洋大学教授の馬場治さんだ。

さらに、QFFは2012年以来、著名な俳優である別所哲也さんをカタールフレンド基金親善大使として任命している。別所さんは特に震災の被災者を支援するなど、社会活動に取り組んでいる。

経済効果

QFFの全体的な経済波及効果は2016年度単年で約120億円と、また今後10年で1,800億円の経済効果が予測されている。これは今日まで基金が提供した額を大きく上回っている。一番大きな割合を占めるINTILAQを除いて控えめに見積もったとしても、今後10年で170億円の経済効果が見込まれている。この経済効果はすでに提供された額を上回っている。

各プロジェクトの継続性を強め、予測された経済効果が継続的に現れるよう、今後QFFは現場での支援と監督をすることが望まれる。

QFFは日本での基金の経済波及効果と活動についての3つの研究報告書を10月下旬に発表する。

(この記事の情報はQFFにより提供された)


復興と発展に必要な起業家精神

QFFの委員会のメンバーとして、日本で最も野心的なINTILAQプロジェクトの発展に積極的に関われ、うれしくかつ大変名誉に思います。人々の人生を変えるようなこの計画について紹介します。

2011年3月に東北を襲った災害は、家屋や建物を破壊しただけではありません。地震と津波による長期的な影響は残された人々の意識を変えました。東北の復興には物理的な再建だけでなく、住民、特に若い世代の希望と夢を再生する大胆で新たな計画が必要でした。起業の力を信じる者として、計画の鍵の一つは、地元の人たちの起業精神を盛り立てることでした。ですが新たな事業を起こし、アイデアを実現するのに必要な手段を地域の起業家に提供する方法が足りませんでした。

2013年にQFFは、東北全域で起業家精神を育み、また日本全体のモデルともなる新たなプロジェクト推進への資金提供を申し出てくれました。これはINTILAQプロジェクトと名づけられ、津波で最も被害を受けた県の中心である仙台に拠点が置かれました。QFFは継続的に行なわれている地域復興の取り組みの手本となる新たな施設作りを支援してくれました。今日、そのINTILAQ東北イノベーションセンターという施設は、野心を持つ日本人が仲間や先輩から起業について学び、ビジネススキルを磨き、東北を越え世界とつながれる場所になっています。また彼らがチームとして集まり、一時的なオフィスを構え、始めて間もない事業を構築する理想的な仕事場を提供しています。

INTILAQは東北の起業家の生態系を作り、世界の市場とつなぐことを目指しています。まず東北の起業家に手を差し伸べ、有益な情報を与え、不可欠なビジネススキルを伝えます。次に地元の起業家を、地域での成功を国内外の市場にどうアピールするか示せる国際志向の専門家とつなぎます。

INTILAQセンターはオープンからまだ数ヵ月ですが、順調にいっています。ハウスレクチャーシリーズでは、毎月多くの熱心な参加者が集まり、デザイン思考、グローバル・コミュニケーション、事業創業支援のワークショップは参加者から高い評価を得ています。そのほか数多くのプログラムも準備しており、メンタリングプログラムではニーズに応じて地域の起業家を1対1で経験豊富な企業幹部などのエキスパートが手助けします。

これらは始まりに過ぎません。QFFの支援で、東北の未来に大きな影響を与え、地域のルーツを超え、日本、そして世界のリーダーになりうる新たな世代の起業家を育成し始めています。この取り組みに関われ、誇りに感じ、大変光栄に思います。

(IMPACT Foundation Japan代表理事・齋藤ウィリアム浩幸)



Qatar Friendship Fund Relief Projects in Tohoku

1. 東北の被災地を支援するカタールフレンド基金

2. カタールフレンド基金、教育、水産業と健康分野での支援